日本人の大腸がんの主要な原因の一つとして、特定の腸内細菌が産生する毒素が深く関与していることが最新の研究で明らかになっています。
原因となる主な細菌と毒素
- コリバクチン産生大腸菌(pks⁺大腸菌)
- 大腸菌が作り出す「コリバクチン」というDNAを傷つける毒素が、細胞の遺伝子(APCやTP53など)に異常を引き起こし、がん化を促します。
- 日本人大腸がん全体の約半数(約45%)、40歳未満の若年発症大腸がんでは約70%にこのコリバクチンによる遺伝子変異の痕跡(シグネチャー)が確認されています。
- フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)
- 歯周病菌としても知られる口腔内の常在菌で、腸にまで達して慢性的な炎症や免疫抑制を引き起こし、がんの進行を後押しすることが分かっています。
- その他の口腔細菌
- 鹿児島大学などの研究により、大腸がん患者の唾液と便に共通して見つかる特異的な口腔常在菌(4種類)の関与も新しく発見されています。
特徴と予防に向けた動向
- 幼少期からの影響
- コリバクチンによる遺伝子の傷は、幼少期などの早い段階から蓄積し始める可能性が指摘されています。
- 除菌の難しさ
- 胃がんを引き起こすピロリ菌のように抗生物質で簡単に除菌すると、必要な善玉菌を含め腸内環境全体を壊してしまうため、特定の菌や毒素だけをターゲットにした治療法(ファージ療法や抗体投与など)の研究が進められています。